ライブラリー管理 ー 未使用メンバの棚卸 ー

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未使用メンバの探し方

皆様のシステムには大量のプログラムが入ったライブラリーが存在し、運用管理に苦労されていると思います。不要となったメンバや過去一度も使用されなかったメンバをどのように整理されていますか? 世の中に数あるモニターツールでは、使用したメンバを確認することができても、使用されなかったメンバを探し出すことができません。

未使用メンバがライブラリー内に残り蓄積していくことはライブラリーを肥大化させ、バックアップ時間や運用コスト増加を招くだけでなく、セキュリティ上でも望ましくありません。

SMFによる抽出は作業負荷が問題

SMFはシステムの活動状況が確認できる優れたデータの集合体ですが、不要メンバを抽出する場合には、最初に過去のSMFデータからライブラリー名とメンバ名を抽出しなければなりません。使用プログラムを抽出するには、日次、月次の他、季節毎の処理や年次処理を含め、最低でも一年間の集計データが必要になります。SMFデータにはシステム内の様々な活動データが収集されているため膨大で、大規模なシステムでは一ケ月だけでも大量のデータ処理になると思います。苦労して集計した一年分のデータを利用し、既存ライブラリーとの比較処理が必要になりますが、ライブラリーの数も数百、数千存在すると思われますので、かなりの作業負荷が予想されます。

モニターツールでも引き算が面倒

プログラムの稼働状況をモニターするツールを利用すれば、過去のSMFデータからの集計作業が不要になりますが、使用されなかったメンバを抽出するには既存ライブラリーとの比較処理は必要です。また、モニターツールでも同一メンバ毎に記録するタイプのツールだと、同じデータが複数存在することになり、比較処理の前処理として重複データを排除する処理をしなければなりません。

一方、モニターツールを利用する場合、最低一年間のデータを収集するために、これから一年分の稼働が必要になるため、SMFデータを集計する方が結果が出るまでの期間が短く効率的という議論があります。しかし、SMFデータはPGM=で指定した最初のプログラム名が確認できるだけで、そのプログラムから呼び出されたランタイムプログラムの情報が得られないこと、SMFデータ全体から特定の使用履歴のみを抽出するよりは、整理が必要なライブラリーのみを対象にモニターする方が遥かにデータ量が少なく、集計に必要な作業負荷も低くなります。更に、モニターデータの場合には、日付、時間、ジョブ/ステップ名、プログラム名、データセット名、ボリューム名、ユーザIDなどの他、メンバを呼び出した時の機能などについての詳細なデータも同時に収集できるため、SMFより詳細なデータの抽出が可能です。尚、ソースプログラムを解析する方法も考えられますが、解析して得られるデータはあくまでも可能性のみであり、プログラムの連携や処理の流れが確認できるだけで、実際の稼働データは収集できません。

ライブラリー管理情報

ライブラリー管理に関するSMFデータの活用方法として、SMFレコードタイプ42(サブタイプ21、24、および25)からの情報を使用して、ライブラリー管理を考える方法も考えられます。このSMFデータに記録される情報は、ライブラリーPDSおよびPDSEに対して、メンバの追加、削除、リネームおよび置換の情報のみであり、参照した情報は得られませんので、ライブラリー変更管理を目的としたセキュリティ管理情報と考えられます。

簡単に引き算できるジャーナル機能

弊社が取り扱うSEA社のソリューションの一つにFMO(Fast Member Organizer)というツールがあります。この製品はライブラリーメンバの利用状況把握やアクセス制御を行うものですが、機能の1つにジャーナル機能があります。ジャーナル機能は対象となったライブラリーを監視し、使用されたメンバを監視対象のライブラリーから外す引き算の処理を行い、稼働期間中に使用されなかったメンバを特定することができます。このジャーナル機能は稼働データを記録しないため極めて負荷が低く、ディスク容量も最小化(約60シリンダーで335万メンバを記録可能)できるため、システムへの影響が少ない優れた製品です。更に、便利な機能として未使用メンバをアーカイブバックアップし、ライブラリーから削除する機能も備えていますので、メンバの整理にも利用できるため、柔軟な運用管理が実現できます。

データ収集の仕組み

データ収集の仕組み

RACFで実現出来ない特定メンバ制御

FMOはアプリケーションの利用実績とライフサイクル、棚卸による管理対象の削減、不要ソフトウェアの解約、システム監査支援、品質管理などの他、メンバ単位のアクセス制御に利用できます。セキュリティ管理製品であるRACFにはメンバ毎の制御機能がありませんが、FMOはライブラリー内の特定メンバ単位にアクセス制御を実現することが可能です。メンバ毎のアクセス情報収集以外に参照や更新を拒否する機能が実装されています。

FMOは、不要ソフトウェアの解約、ダウンサイジングへの活用、運用管理対象のスリム化および定常的なシステム監査などに適用した事例があります。

FASTPACKパッケージ

FMOはFASTPACKパッケージに含まれる1つの製品です。FASTPACKパッケージには、現在でも多くのお客様にご利用いただいておりますPDSFAST、FASTGENRおよびFASTVSAMという高速化ツールの他、SMS/非SMS混在した環境で、データセットタイプに依存しない統一した管理資料を提供するFDSO (Fast Dataset Organizer) を含む5製品がパッケージ化されています。製品の導入はライブラリーコピーのみでIPLも不要ですが、既にこれらの製品の1つでもご利用いただいているお客様は、製品の導入作業も不要となり、ライセンスコードのみの変更でトライアルを含めた利用が可能です。

参考FASTPACKとFMOの製品情報はこちら

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